子どものいない夫婦です。夫の父母・祖父母がすでに他界しているため、このケースでは妻と夫の弟が相続人になります。
財産の設定夫名義の自宅(土地・建物)5,000万円・預貯金3,000万円
初めての方は、01から順にご覧ください。確認したい項目から読むこともできます。
01相続の分け方・税金相続税の計算や、分け方のポイント
上から順に開くと、家族構成から分け方・税金のまとめまで、流れに沿って確認できます。必要な項目から読むこともできます。
この欄の前提・注意点
本文の条件に基づく説明です。税額は財産の評価や特例の適用で変わるため、個別の計算は税理士に確認します。
家族構成と財産
夫が亡くなった後、妻の暮らしを守る
子どものいない夫婦で、夫には弟が1人います。夫の父母・祖父母がすでに他界しているため、夫が亡くなったときは妻と夫の弟が相続人になる例です。
夫名義の自宅(土地・建物)5,000万円と預貯金3,000万円、合計8,000万円。夫は妻に全財産を残したいと考えています。
遺言がない場合
子どもがいなくても、妻だけとは限りません
夫に子どもがおらず、父母・祖父母も他界しているため、妻に加えて夫の弟が相続人になります。この組合せの法定相続分は、妻4分の3・夫の弟4分の1です。
遺言がなければ、妻に全財産を渡すには弟を含む相続人の合意が必要です。自宅と生活資金をどう確保するかを考えます。
遺言で希望を伝える
「妻に全財産を」と遺言に残す
夫の希望を遺言書で明確にする方法があります。夫の弟には、法律で守られる最低限の取り分(遺留分)がないため、このケースは遺言の役割が特に分かりやすい例です。
妻が先に亡くなった場合の相続先や、手続きを進める遺言執行者についても、必要に応じて検討します。
まとめ
詳しい説明・注釈は、必要な項目を開いて確認できます。
相続人になる人の確認
夫婦に子・孫などの直系卑属はおらず、夫の父母・祖父母などの直系尊属もすべて他界し、夫の弟1人が存命とします。相続放棄や養子など、ほかの事情はない設定です。
法律上の相続割合と話し合い
妻と夫の弟が相続人になるこの例では、法定相続分は妻4分の3・夫の弟4分の1。8,000万円なら妻6,000万円・夫の弟2,000万円に相当します。自宅などを必ず共有にする、という意味ではありません。
遺言がない場合でも、相続人全員の合意により妻に全財産を渡す分割は可能です。遺言があれば希望をあらかじめ明確にできます。
夫の弟に最低限の取り分はあるか
兄弟姉妹には遺留分がありません。この設定で「妻に全財産を相続させる」とした遺言に対し、弟が遺留分を理由に金銭の支払いを求める権利はありません。遺言自体の有効性など別の争点はあり得ます。
妻が先に亡くなった場合
夫が遺言を書く時点では妻が存命でも、妻が先に亡くなる可能性があります。そのとき誰に財産を引き継いでほしいかを決め、予備の条項を検討します。
相続税の確認
この例の法定相続人は妻と夫の弟の2人なので、相続税の基礎控除は3,000万円+600万円×2人=4,200万円です。
妻が取得する財産には配偶者の税額軽減、自宅の土地には一定の条件で小規模宅地等の特例を検討できます。弟が取得する場合は原則として相続税額の2割加算の対象です。具体的な税額は税理士に確認します。
出典・参考資料
計算の前提・注意点
※家族関係や財産の所有状況が異なると結論は変わります。遺言の内容や税額は個別に確認します。
02相続手続きの流れ財産目録・必要書類・名義変更
上から順に開いて、相続人の確認から名義変更・税金までの流れをご覧ください。実際の手続きは、期限を確認しながら並行して進める場合もあります。
この欄の前提・注意点
必要な書類と期限は、手続先ごとに確認します。父と母の相続がある場合は、別々の手続きです。
夫の相続で、妻の暮らしを守る。まず①から順に開いて、手続きの全体像をご確認ください。確認したい項目から読むこともできます。
亡くなった人:夫
相続人:妻・夫の弟
財産:自宅(土地・建物)5,000万円・預貯金3,000万円
目次は手続きの流れに沿って並んでいます。ただし、相続放棄など期限のある手続きもあるため、⑥の期限は先に確認しましょう。実際には複数の手続きを並行して進める場合があります。
① 遺言書を探す・内容を確認する
遺言書の有無と内容を確認します。
遺言書を探す場所・確認事項
自宅・貸金庫等の保管場所や、公正証書遺言・法務局保管の自筆証書遺言の有無を確認します。見つかったら、作成日、受取人、対象財産、遺言執行者の指定を読み取ります。
検認・封印のある遺言書
家庭裁判所の検認が必要な自筆証書遺言もあります。封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人等の立会いの下に開封します。公正証書遺言と法務局保管の自筆証書遺言は検認不要です。
このケースの文例へ
② 財産を受け継ぐ人を確認する
戸籍で、相続人になる人を確認します。
このケースの相続人
夫に子どもや孫がおらず、父母・祖父母も他界しているため、夫の弟が妻とともに相続人になります。この家族関係を確認できる戸籍を集めます。
集める戸籍の種類
基本資料は、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍と、相続人の現在の戸籍などです。兄弟姉妹が相続する例では、ほかにも戸籍が必要になります。
相続人一覧と法定相続情報
氏名・続柄・生年月日・住所・連絡先を一覧にし、手続先で必要な証明書類を確認します。法定相続情報一覧図の写しを利用できる場合もあります。
③ 財産の一覧表(財産目録)の書き方・記載例
記載例と、財産の種類ごとの書き方を確認できます。
財産目録の記載例を見る
財産目録の整理例([ ]は実際の情報に置き換えます)
亡くなった人:[氏名] 死亡日:[年月日]
作成日:[年月日] 確認した人:[氏名]
| 財産 | 特定する情報 | 事例の金額 |
|---|---|---|
| 自宅の土地 | [所在・地番・地目・地積・持分] | 土地・建物で合計5,000万円 |
| 自宅の建物 | [所在・家屋番号・種類・構造・床面積・持分] | 内訳を確認(土地と重複集計しない) |
| 預貯金 | [金融機関・支店・種別・口座番号・名義・残高] | 合計3,000万円 |
預貯金・株式等の書き方
預貯金は、口座ごとに「[銀行名][支店名]/普通預金/口座番号[番号]/名義[氏名]/死亡日残高[円]」のように記録します。株式・投資信託は証券会社・銘柄・数量・評価額を別明細にします。
借入金・未払金・保険の確認
借入金・未払金・保証債務も別欄で確認します。「借入先[名称]/死亡日残高[円]/確認資料[残高証明書等]」と記載し、葬式費用の領収書も保管します。保険は受取人等を確認し、遺産と区別して一覧にします。
価額・評価基準日・確認資料
表の金額は各コラムの設定額です。実際には「価額の種類(相続税評価額・時価等)」「評価基準日」「確認資料」も記録します。財産を特定する情報と評価額は区別します。
遺言に添付する目録の注意点
遺言書に添付する財産目録を自書以外で作る場合は、毎葉(両面に自書以外の記載があれば両面)への署名・押印が必要です。本文の「誰に相続させるか」は遺言者が自書します。この表は整理例で、提出先の所定様式に代わるものではありません。
④ 財産の価値を調べる・必要な資料
評価額と、その根拠になる資料を整理します。
財産別に集める資料
不動産は登記事項証明書、固定資産税の課税明細・評価証明書など、預貯金は死亡日時点の残高証明書や取引履歴、株式等は証券会社の残高資料を集めます。
財産の評価額・所有する割合
遺産を分けるための価額、相続税のための価額、固定資産税評価額は同じとは限りません。土地と建物を分け、共有なら亡くなった人の持分を確認します。
評価を相談する先
不動産の価格の把握は不動産の専門家に、相続税評価や特例の判断は税理士に確認します。
⑤ 財産の分け方を決めて書面にする
誰が何を取得するか、必要な書面を確認します。
このケースの引き継ぎ方
妻に全財産を残す遺言がある場合と、ない場合で進め方が変わります。遺言がなければ、妻と弟の合意により妻がすべて取得する内容の協議書を整えます。弟に遺留分はありません。
財産の分け方を合意した書面
遺産分割協議書を作る場合は、亡くなった人を特定する情報、各財産の特定情報、誰が何を取得するかを明記し、相続人全員が合意した内容を記録します。手続先で実印・印鑑証明書等が求められるため確認します。
協議書が必要か・特別な手続き
遺言に従う場合は、必ずしも遺産分割協議書を作るわけではありません。未成年者・判断能力に不安のある人・所在不明者がいる場合は、必要な手続きも個別に確認します。
⑥ 名義変更・税金の手続きを進める
手続先・必要書類・期限を確認します。
預貯金・不動産・株式の手続先
預貯金は各金融機関、不動産は法務局、株式等は証券会社で手続きを確認します。遺言書・遺産分割協議書・戸籍等の必要書類は、提出先と分け方で異なります。
手続きの相談先
不動産の登記申請の代理は司法書士等に、相続税の申告は税理士に相談できます。争いのある分割交渉は弁護士に相談します。
相続放棄・税金の期限
相続放棄は原則、自己のために相続が始まったと知った時から3か月以内。必要な準確定申告は相続開始を知った日の翌日から4か月以内、相続税の申告・納税は通常、死亡を知った日の翌日から10か月以内です。
相続登記の期限
相続登記は原則、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内。遺産分割が成立した場合の追加の登記義務にも注意します。
参考資料・出典
03遺言書の文例本文・日付・署名・押印
枠を開くと、財産の分け方から日付・署名欄まで通して読めます。
夫の遺言書
妻に全財産を残し、妻が先に亡くなった場合の受取人も決める例です。
遺言書(文例)
第1条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、妻[妻の氏名・生年月日]に相続させる。
第2条 遺言者は、妻[妻の氏名]が遺言者より先に、又は遺言者と同時に死亡した場合は、遺言者の有する一切の財産を、[予備の受取人の氏名・生年月日・住所]に遺贈する。
第3条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、[氏名・住所・生年月日]を指定する。
[実際に作成した年月日]
住所 [夫の住所]
氏名 [夫の氏名を自署] 印
財産目録の記載例を見る
相続手続きで使う財産目録の参考例
亡くなった方:[夫の氏名]
死亡日:[年月日]
作成日:[年月日]
確認した方:[氏名]
| 財産 | 特定する情報 | 事例の金額 |
|---|---|---|
| 自宅の土地 | [所在・地番・地目・地積・持分] | 土地・建物で合計5,000万円 |
| 自宅の建物 | [所在・家屋番号・種類・構造・床面積・持分] | 内訳を確認(土地と重複集計しない) |
| 預貯金 | [金融機関・支店・種別・口座番号・名義・残高] | 合計3,000万円 |
[ ]には実際の氏名などを入れ、作成日は年月日まで記します。自筆証書遺言では、財産目録を除く本文・日付・氏名を本人が手書きし、押印します。実際に作成する際は、財産の名義と遺留分を確認してください。以前に作った遺言書がある場合は、新しい遺言書と内容が食い違う箇所がないか確認してください。法務省の記載例(PDF)もご確認ください。
詳しい説明・注釈は、必要な項目を開いて確認できます。
夫の弟に最低限の取り分はあるか
この家族設定で、夫の弟に遺留分はありません。妻に全財産を残す希望を明確にする例です。相続人や家族関係に変更があれば、内容を見直します。
妻が先に亡くなったとき
妻が夫より先に亡くなった場合の相続先を決める予備的な条項も検討します。希望する相手の存否や関係により内容が変わるため、夫の文例には、妻が先に亡くなった場合や同時に亡くなった場合の受取人を定める条項を載せています。
手続きを任せる人・遺言の残し方
遺言を実行する手続きを担う人(遺言執行者)を指定するか、保管・実行をどうするかも検討します。公正証書遺言を希望する場合は、本文の分け方を希望案として公証人に相談します。
